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―製造から小売までを一貫して行うKnotと、原綿から生地まで一貫生産を行うカイハラは、ともにジャパン・クオリティを世界へ発信するメーカーでもあります。お互いから見て、どのようなところにシンパシーを感じられますか?

遠藤 デニムと腕時計の共通点を挙げるとしたら、ともに100年以上の歴史があり、常に進化しているものの“変わりたくても変われない”一面があると思います。例えば、時計の形は丸・四角・樽型、針の数も3本か5本。それ以上の進化はなかなかできません。ただ、デニムも時計もひとつのファッションである以上、トレンドやライフスタイルに合わせて新しい提案をしていかなければならない。それはデザインだけでなく、技術も含めてです。そうでなければ、やはりマーケットのなかで勝ち抜いていけません。その点は非常に似ているところだと思います。

貝原 そうですね。我々とKnotの共通点は、新しいことにチャレンジする姿勢だと感じています。デニムというのは世界がマーケットになりますから、日本だけではなく、海外もターゲットにして、常に新しいことに挑戦していく。そういった意味では、まだまだチャンスがあると思っています。

遠藤 Knotはまだ産声をあげたばかりですが、カイハラは歴史もあり、世界に向けて確固たるブランドとしてジャパンデニムを生み出された先駆者です。今日、工場の見学もさせていただきましたが、本当に驚くことばかりでした。しっかりとした技術開発や設備投資をされているからこそ、紡績・染色・織布・整理加工の一貫生産が可能になり、これだけのグローバルマーケットを築けたのではないかと、非常に刺激をいただきました。カイハラがデニムをつくりはじめて半世紀になるわけですが、国内シェア50%以上、輸出においても国内トップのシェアを誇る理由として、他社製品とのいちばんの違いはどんなところにあるのでしょうか?

貝原 デニムをつくる最初の工程に糸をつくる紡績がありますが、紡績の機械投資は非常に高く、採算を取るのも非常に難しいと言われています。我々は1991年に紡績を始めたのですが、当時は紡績業から撤退するメーカーが多く、「カイハラは紡績なんて儲からないところに今さら投資して、潰れるぞ」なんてことを公然と言われたりもしました。しかし、結果的には自分たちで糸をつくることで生地のレベルが上がり、売上もぐっと上がったんです。加えて、綿花は1年草なので、産地によって色が違います。私たちは、常に綿花の状態を見て「これだったら、どんな色に仕上がるか」を考慮して糸をつくっています。いい染めができて、いい織りができることがまず大前提としてあり、そこで紡績を始めることで全体のクオリティを上げることができたんです。

遠藤 原綿から一気通貫で行われていることが、他社製品とのクオリティの違いに結びついているんですね。

貝原 そうだと思います。

引裂き
引裂き

―老舗ジーンズメーカーから海外ハイブランドのデニムを数多く手がけられてきたカイハラ、アジア4カ国に5軒の海外ギャラリーショップも展開されているKnot。日本と海外の消費者で異なるところは?

遠藤 意外と日本人ほど日本の良さを知らないのかもしれません。私も、国内のいくつもの工場を見学させていただきましたが、今回、原綿から生地ができるまでの工程を拝見して、ここまでクオリティの高いものが日本で生み出されていることに驚きました。こうした日本の技術力や文化を、国内のみならず海外の方に知っていただくというのは、非常に価値があることだと思います。

貝原 ただ、日本の消費者は非常に厳しいですよね。定番品が売れなくなり、何かこれまでにない新しいものが求められていると思います。

遠藤 そうですね。日本は消費者が成熟しているので、何のポリシーも工夫も、ストーリーもない製品は買わなくなってきています。モノではなく、コト消費と言われていますが、デニムにしても数千円でクオリティの高いものが手に入りますし、すでに何本も持たれている。その消費者がもう1本デニムを買うには「カッコイイ」ということよりも、「このデニムでないとダメなんだ」と思える理由やストーリーが伴った製品が国内のマーケットで残っていくのではないかと考えています。

貝原 我々のように、日本でものづくりをしている人たちは、一歩会社から外に出れば消費者になり、働いているときはものをつくる人間になります。消費者の目を持ったものづくりというのが、メイド・イン・ジャパンの大きな力になっていると思いますね。

遠藤 Knotは日本初のSPA時計ブランドとして製造から小売まで一貫して行っています。ほとんどBtoBの卸売はしていません。ブランド創業の背景も、クラウドファウンディングから始まった経緯があり、やはり常にエンドユーザーの声を聞くことをブランドポリシーとして重要視しています。これからメイド・イン・ジャパンの腕時計を海外に発信していくために、海外のエンドユーザーの声を聞き入れることもすごく大切になってくると思います。私たちはアジアを中心に展開しているのですが、暑い国が多く、スーツではなく、カジュアルな服装でお仕事される方が多いんですね。そうすると、レザーのベルトやメタルのベルトではなく、もう少しカジュアルなベルトやデザインが求められる。今回コラボレーションさせていただくデニムベルトは、とても喜ばれるのではないかと自信を持っています。

貝原 今回のコラボレーションは初めての試みなので、また新しい挑戦ができると楽しみにしています。私たちは、自分たちで金具を削ったり、新しい機械をつくったりしてものづくりをしてきました。真似るのではなく、真似られるような商品をつくり、「次はどんなものをつくるんだろう?」と期待感を持ってもらえるというのが我々の使命かなと思っています。

耐水
撥水
撥水

―メイド・イン・ジャパンを長きに渡り牽引してきたカイハラと、気鋭のKnotとのコラボレーションには、どのような可能性が秘められているのでしょうか?

遠藤 2014年にKnotを創業し、2015年からクラフツマンシップを未来に継承すべく「MUSUBUプロジェクト」をスタートさせたのですが、実は、企画段階から「カイハラデニムとのコラボベルトをつくる」というアイデアを書きとめていたんです。

貝原 そうだったんですね。ありがとうございます。我々としては、「メイド・イン・ジャパンのデニムを広げていきたい」その一心でここまでやってきたわけですが、今回コラボレーションを機に、どんどんご要望をお聞きして、世の中に出すときには何か以前とは違う進歩のあとが見られるようなプレゼンテーションをしなければと思っています。

遠藤 昨年新しくオープンした「丸の内ギャラリーショップ」では、レザーグッズのカスタムオーダーも始めました。今回は時計のベルトを一緒につくらせていただくわけですが、今後、カイハラデニムを新しいプロダクトに広げることができれば、もっと幅広いお客さまに発信できるのではないかと考えています。

貝原 それは我々としても望むところです。やはり、同じものをつくっていては、消費者から注目を浴びることはできません。モノよりもコト、商品の話をするのもストーリー性を持ったものづくりや背景を自信を持って語れるような商品をつくっていかないと、お客さまからの支持は得られませんよね。

遠藤 一緒にものづくりをさせていただくからには、ひとりでも多くの方にカイハラデニムを知っていただくことが第一だと思っています。Knotはエンドユーザーにダイレクトに商品を提供できることも強みです。得た利益は、マーケットではなく、お客さまに還元する。そういった意味では、カイハラデニムを使ってお客さまに喜んでいただくようなノベルティをつくったり、横浜のクラフトマンシップストリートにある「横浜元町ギャラリーショップ」で藍染めのワークショップを行ったり、製品の背景にある一連のストーリーを様々な方法でお伝えできればと考えています。

貝原 ありがとうございます。サポートできるところはぜひご協力させていただきたいと思います。お客さまが「Knotは次にどんなものを出してくるんだろうか?」という期待感を抱くところに参加できればと思いますし、その要望に応えていきたいですね。

遠藤 ぜひよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

撥水
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