ABOUT 博多織

Knotの次なる挑戦は、革小物のカスタムオーダー。
腕時計で培ったノウハウを生かしながら、掲げる理念はそのままに新たな世界へと突入します。
男の小物にこだわる発想の原点を、Knot代表の遠藤弘満と服飾ジャーナリストの山本晃弘さんが語り合います。

山本 新たに、革小物のカスタムオーダーを始められたそうですね。ありそうでなかった試みに思えます。

遠藤 ありがとうございます。用意しているのは、A=ラウンドファスナーの長財布、B=二つ折り財布、C=パスケースの3アイテムです。それぞれに、取りはずし可能な小銭入れがセットできる形。Aの長財布に関しては、見開きの右面と左面で異なる配色も可能となっています。

山本 なるほど、外側と中に入れる小銭入れで色を変えられるんですね。長財布のパーツで色を変えてバイカラーも楽しめるアイデアは、特に斬新ですね。なにより、カスタムのワクワクする感じが時計と同じです。

遠藤 狙いは、まさにそこ。カスタムオーダーが陥りやすいのは、選べる要素が多すぎて複雑化してしまうことなのです。

山本 わかります。スーツのオーダーなどでも、ステッチの色からポケットの仕様まで、選択肢が多すぎると難しい。逆に面倒になってしまいます。

遠藤 海外でも増えているB to Cのオーダーブランドのなかでも、成功できていないブランドは選択肢を増やしすぎている。高度なサービスを提供しているという自己満足に陥っているように思います。

山本 なるほど、いいあんばいが大事ですね。

引裂き

遠藤 お客さまには、カスタムオーダーの楽しいところだけをやってもらって、面倒な部分はこちらで固めておく。餅は餅屋ではないけれど、業者からの提案は、かなりの割合で正解だと思います。あと選ぶのは、ココとココだけとわかりやすい設計にしておけば、おいしいところだけを楽しんでいただける。組み合わせは2億通り!みたいなブランドも見かけますが、考えただけでも疲れてしまいますよね(笑)。

山本 その簡素化は、まさにKnotの腕時計の方法論と同じじゃないですか??

遠藤 おっしゃるとおりです。私たちが掲げるコンセプトは3つ、「メイド・イン・ジャパン」「カスタムオーダー」「プライスバリュー」。これらは、腕時計に限った話ではないのです。この三本柱を核としたモノづくりであれば、どのアイテムでもつながりが生まれると考えています。

山本 ひとつのジャンルで成功したブランドが、次のビジネスに進むのは勇気がいること。Knotは革小物の世界へ挑戦していくわけですね。

遠藤 時計界でも、新ジャンルに進んで失敗した例を時折見かけます。アクセサリーだったり、アイウエアだったり。そうしたブランドがうまくいかないのは、必然性がないからだと見立てています。

山本 Knotの場合は3つの基本になる価値があるから、そこに必然性がある。私はこれまで、Knotを説明するときに、腕時計を媒介として「メイド・イン・ジャパン」をつなぎ合わせるブランドだと言ってきましたが、媒介は、腕時計に限らなくていい。進化しましたね!

遠藤 はい。そして、腕時計と革小物には、人から見られているものという共通点がある。さりげなくパーソナリティーを演出する点で、高い親和性があるんですよね。

山本 私も職業柄か、人が使っている腕時計と革小物はけっこう見てしまいます(笑)。

遠藤 実は、腕時計の次に革小物をやるのは、起業当初からのアイデア。腕時計に栃木レザーのストラップをラインアップしていますが、それは、革小物の展開も見越して企画したのです。

山本 え? その段階で、ここまで考えられていたんですか。

遠藤 腕時計のユーザーにとっても、栃木レザーの小物であれば、信頼に足る高品質であることを知っているから安心していただけるはずだと。

山本 きっちり前フリをして、ここで落とすなんて。よくできた漫才みたい(笑)。このストーリーまでは、想像できていませんでしたよ。しかも、我々ファッションの世界では、身に着ける革小物は色をそろえましょうと、たびたび提案していますが、質感と微妙な色みまでどんぴしゃりと合わせられるものは、そうそうない。Knotの栃木レザーなら、時計のストラップと財布で色をぴたりとそろえることが可能になって、うれしさも倍増しますね。

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山本 ブランドをひけらかさないシンプルなたたずまいに、好感が持てます。差し込み式の小銭入れと本体を組み合わせるアイデアも秀逸ですよね。

遠藤 財布を何個も持つ人は多くないと思いますが、使うシーンによっては、小銭入れだけでよかったり、長財布がよかったりと、使い分けたいシチュエーションが結構あるなというのが、着想のポイントでした。

山本 誰の前で財布を出すか、という視点は、ビジネスマンのたしなみとして考えておきたいポイントです。もちろん、質のいい財布を持っているのは最低条件。ボロボロのカジュアル財布は味がある、といった言い訳はビジネスでは許されない。一方で、ちょっとしたランチに行くときや、出張の合間にできた時間で軽く出かけたいときに、長財布はトゥーマッチ。そういったTPOに、この組み合わせ式の財布は、ぴったりですね。

遠藤 そうですね。接待でも、デートでも、日常でも、使っていただけます。所作がスマートに決まってきますよ。

山本 所作の品格は、とても大事です。支払いがスマートにできていないと、仕事の段取りも悪いのかなと思ってしまいますしね。

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遠藤 ビジネススタイルのカジュアル化も進んで、ライフスタイルも多様化しています。カスタムオーダーにすることで、そうした働き方や装いの振り幅にも対応しているわけです。ラウンドファスナーの長財布が大きいと感じる人には、二つ折りの財布を。キャッシュレス化を採り入れている人なら、カードケースと小銭入れだけでもいいんじゃないかと。

山本 それでいて、いわずもがなの適正価格がうれしいですね。

遠藤 ラウンドファスナーは、本体1万9000円(表裏各9500円)+カード小銭入れ8000円、二つ折り札入れ本体は1万2000円で、カードケース本体が7500円。ふたつに共通する小銭入れが9000円。1万6500円~2万7000円という価格帯です。

山本 ちょっと、驚きますね。

遠藤 価格の設定は、私自身がやっています。前職で卸しをしていたときには、メーカーではないので、自分で価格をつけられなかったわけです。ある意味、価格をメーカーのせいにできた。でもいまは自分がメーカーですから、逃げ道はない。最後は、お客さまがその値段で買いたいと思えるかどうかですから。

山本 ユーザーの気持ちにも立ち返っている。この価格で、栃木レザーですもんね。

遠藤 栃木レザーは、希少性が増していて、新規の業者には卸していない。私たちは、腕時計のストラップでの関係性があったからこそ、革小物にも融通してもらえているんです。

山本 なるほど。製造は60年以上の歴史を有する革小物の老舗、キヨモトさんと伺いました。改めて「メイド・イン・ジャパン」のモノづくりの魅力を感じますね。

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遠藤 しかも、裏地の素材は、腕時計のストラップにも使用している甲州・槙田商店のジャカード織。これまで培った関係性が継続されています。

山本 そうしたつながりが、Knotの“らしさ”ですね。「結び目」を意味するブランド名の重みが増してきますね。

遠藤 日本のモノづくりの衰退は、ずばり売れないから。ですから、私たちも売らなければ意味がない。いいものを適正価格で提供する。ものの価値がわかる人には、Knotの魅力が伝わることは、腕時計で実感しています。革小物という新たな挑戦をして、さらに、日本のモノづくりを活性化していけたらいいなと。

山本 確かに。私たち雑誌の世界も同様で、売れてこそ、読まれてこそですから。

遠藤 パートナーには、たくさんKnotの仕事をしていただいて、利益を出しながら継続していく。日本のクラフトマンシップここにあり。それを、Knotを通じて世界中に発信していきたいのです。

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